それでも、わたしは
「神を気取る? 違うな・・・ボクは神になるんだ。このGシステムの力によってね」
上から見下ろすような、タッカーのふてぶてしい声。
月面のゲートが開いて、タッカーの乗るMAが姿を現した。
それは巨大MA、αアジールだった。
神となることを当たり前のように宣言するタッカー。
「リバジ・ザースはそのためにボクを作ったのさ! 愚かな人間を裁くための神たる存在としてね・・・。」
「違います! わたしたちの使命は人間を裁くことではありません! 地球を守ることです!」
素早くイーチィが反論する。
同じマキーナ・サピエンスとして、イーチィにはタッカーの言葉がどのように聞こえたのか。
どちらのいうことが本当なのだろう?
「同じことさ・・・人間は・・・地球を破壊する害虫なんだ。人間を排除すれば地球を守ることができる!」
その言葉にイーチィが絶句する。
正論なのかもしれない。
地球を守るという観点に立てば、地球を汚しているのは人間なのだ。
地球を守るというのなら、人間を排除するのが一番良い方法だろう。
「ボクは長い時間をかけて人間を見続けてきた。
生まれたばかりのキミとは違うんだよ!」
トラッシュは、はっとした。
イーチィと初めて会ったのは、Gシステム。
Gシステムの奥で、イーチィは倒れていた。
彼女はあの時に、Gシステムに創造されたのだ。
「それでも、わたしは」
イーチィは、涙を振り払うように叫んだ。
「それでも・・・わたしは人を信じます!」
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